サッカー日本代表、2022年1月~2月の活躍は素晴らしいものがあった。それを讃えるサッカー講釈師こと武藤文雄さんのツイートである。
武藤文雄@hsyf610mutoうまい日本語が見つからず自分でももどかしいのだが。この2試合の日本代表の全選手が見せてくれた献身の鮮やかさは忘れ難い。100年の歴史が育んだ知性と技巧とフィジカルに優れた我らのサッカーエリート達が、ここまで戦ってくれるとは。カター… https://t.co/rJBBH1nYc9
2022/02/02 00:22:24>>100年の歴史が育んだ知性と技巧とフィジカルに優れた我らのサッカーエリート達が、ここまで戦ってくれるとは。(武藤文雄)
さて、この「100年の歴史」とは何だろうか?
JFA=公益財団法人日本サッカー協会が、1921年(大正10年)に創立してから2021年で100年経ったということである。
しかし、それは日本のサッカーの歴史が100年とちょっとということではない。それ以前から、日本でサッカーは行われていた。
日本でもっとも古くから活動している旧制東京高等師範学校フートボール部、現在の筑波大学蹴球部が創部されたのが1896年(明治29年)だから、そこから起算すると、2022年で126年になる。
筑波大学蹴球部は、現在まで続いている日本の(日本人の)サッカーの直接のルーツと考えられる。全国各高校のサッカー部の淵源、あるいはその血脈(けちみゃく)をたどっていくと、東京高等師範学校~筑波大学の人材に連なるクラブは多いはずである。
だから、武藤文雄さんが「100年の歴史」と書いたのは正しくないのではないか。
さらにそれ以前から、日本の(日本人の)サッカーは行われていた。
もっとも、日本の(日本人の)サッカーが「いつから」始まったのか? 諸説紛々かつ曖昧模糊としており、かつ解釈によってまちまちである。未だよく分かっていないことも多い。
- 参照:明治最初のフットボールはサッカーか? ラグビーか?~後藤健生vs秋山陽一(2019年08月12日)https://gazinsai.blog.jp/archives/38242980.html
- 参照:公益財団法人日本サッカー協会(JFA)沿革・歴史 http://www.jfa.jp/about_jfa/history/
この点、1899年(明治32年)、慶應義塾で行われたラグビーを日本の(日本人の)ラグビーの始まりという話が定説化しているラグビー界とは対照的である。<1>
ともあれ、武藤文雄さんは「120有余年の歴史が育んだ……我らのサッカーエリート達が……」と書くべきだったのではないか。
(了)
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