スポーツライター玉木正之氏の知的誠実さを問う

日本のサッカーカルチャーについてさまざま論じていきたいと思っています。

タグ:レアルマドリード

 これこそ楽観論というものだろう。日本テレビは、今後とも「海外厨」の明石家さんまをFIFAクラブワールドカップテレビ中継の「ゲスト解説」として使いづるけるだろうからだ(そもそも「ここ数年間」ではなく「ここ数十年間」である)。

 「海外厨」の明石家さんまに代表されるような、世界一流のレベルを誇る欧州サッカーを偏愛し、それゆえに自身のサッカー観の見識を誇るために日本のサッカーへの侮蔑を公言せずにはいられない……という性癖「海外厨」は、『「日本サッカーダメダメ」と言う異様な自虐論』の一形態、変種である。

 つまり、こうした「異様な自虐論」が簡単になくなるはずがないのである。

 だからこそ、この「海外厨」という
特異な日本のサッカーカルチャーとは何なのかという探求や批評が必要なのだ。だが、サッカージャーナリズムやアカデミズムはその公然とした現象に気が付かないか、無視をしている。

 東京・渋谷のスクランブル交差点での「俄かサッカーサポーター」によるハイタッチを難じてはナショナリズムを批判したつもりになったり……。

 日本から遠く離れた欧州サッカーでのレイシズムの表現として黒人選手にバナナを投げる話を紹介しては得意になったり……。

 ……することだけが、スポーツ学やサッカーカルチャーの評論ではないと思う。

 「日本のサッカーには、ヨーロッパにはないさまざまな問題がある」のだ。
サッカーと愛国
清義明
イースト・プレス
2016-07-16

 閑話休題。「海外厨」の明石家さんまによる日本サッカーへの侮蔑発言があらたまる様子はない。いい加減、公益財団法人日本サッカー協会や一般社団法人Jリーグ選手会も、
「海外厨」の明石家さんまを起用する日本テレビに抗議し、これを降板させるべきではないだろうか。

 これには前例がある。世界陸上のテレビ中継で出場する選手にふざけたキャッチコピーをつけていたTBSに日本陸連が抗議してやめさせたことがあるのだ(こちらも参照されたし)。

 日本テレビとしては、「海外厨」
明石家さんま、あるはその背後の強力な芸能プロダクション・吉本興業への接待の意味もあるのかもしれない(どうでもいい話であるが、スポーツライター玉木正之氏の友人に吉本興業の役員がいたはずである。その友人が「海外厨」明石家さんまの知られざる逸話を話すシーンが玉木氏の著作『プロ野球の友』に出てくる)。
プロ野球の友 (新潮文庫)
玉木 正之
新潮社
1988-03

 それならばVIPルームで「海外厨」の明石家さんまにクラブW杯を観戦させればいいだけの話であって、わざわざテレビ中継に出す必要はない。

 日本陸連にできて、日本サッカー協会やJリーグ選手会にできないことはないと思う。

(了)


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 明石家さんまの弟は焼死している。はじめ事故(火事)による焼死だと伝えられたが、実は焼身自殺だったらしい。兄・明石家さんまと同じで高校時代はサッカー選手だった。国体への出場歴もある。家庭のことでいろいろ悩んでいたという。亡くなる直前、奈良県の阪奈道路(国道、元有料道路)で交通事故(転落事故)を起こしている。自殺未遂だったのか?

明石家さんまの弟の死を伝える週刊誌記事
【明石家さんまの弟の死を伝える週刊誌記事】

 日本の鹿島アントラーズがスペインのレアルマドリードに対して大善戦をした2016FIFAクラブワールドカップ決勝。テレビ中継で「ゲスト解説」をつとめていた明石家さんまは、この試合後「もし鹿島が2対1で勝っていたら、高速道路でいろいろなことを考えて〔交通事故を起こして?〕しまいそう」だったと語った。

 明石家さんまはスペインのレアルマドリードに勝ってほしかったのだ。

 むろん、日本人だから日本のクラブを応援しなければならない義務などない。それだけならば、別に構わない。しかし、明石家さんまは、世界一流のレヴェルを誇る欧州サッカーをこよなく愛し、それのみならず自身のサッカー観の見識の高さを誇るために日本のサッカーを貶さずにはいられない……という性癖の、いわゆる「海外厨」というカテゴリーのサッカーファンだった。明石家さんまのコメントはそうしたニュアンスを孕(はら)んでいたのである。

 当然、このコメントは顰蹙(ひんしゅく)を買って、ネットは炎上した。

 それにしても「高速道路でいろいろ考えていた」とは、興味深い。ひょっとして、明石家さんまは、死の直前に交通事故を起こした弟のことでも思い出したのだろうか? 死んだ弟も、明石家さんまと同じように「海外厨」だったのだろうか?

 こんなことを明石家さんま本人に面と向かって言うのは嫌がらせだが、明石家さんまが自身の「高尚な」サッカー観を誇示するために、公共の電波たるサッカー中継で日本のサッカーを侮蔑するのも日本のサッカーファンや日本のサッカー界に対する嫌がらせである。

 FIFAクラブワールドカップのテレビ中継を担当する日本テレビが、「ゲスト解説」として明石家さんまを起用し続けているのは、多くのサッカーファンに対する公然としたハラスメントである。



 それでは、(海外厨という性癖は別として)明石家さんまのサッカー解説が素晴らしいかというとそうでもない。この辺はNHKの大相撲中継における「デーモン閣下」の解説と比べると、その差、歴然である。



 民放地上波のスポーツTV中継の劣化・堕落はブラックホール並みに底なしである。

(了)


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