立花隆氏の訃報と過去の反プロレス発言
2021年6月某日、当ブログのエントリー「続・林信吾氏の〈反プロレス主義〉について~そのスポーツ観を疑う」のアクセスが急に伸びた。
- 参照:続・林信吾氏の「反プロレス主義」について~そのスポーツ観を疑う(2018年11月18日)https://gazinsai.blog.jp/archives/34954403.html
何だと思ったら、『田中角栄研究』『日本共産党の研究』『青春漂流』などの著作で知られる立花隆氏(ノンフィクション作家,評論家)の訃報であった。
立花隆氏の過去の「反プロレス発言」が蒸し返されたために、その発言にも触れた当ブログの該当エントリーのアクセスが伸びたのである。
片や、村松友視氏(作家,小説家)がその著作『私、プロレスの味方です』で「プロレス者」(ぷろれす もの)を自任したことを捩(もじ)れば、こなた、立花隆氏は「反プロレス者」としての一面も(本人の意図に反して?)また有名であった。
その表出こそ、井田真木子氏(ノンフィクション作家,故人)の著作で1990年刊、1991年第22回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作『プロレス少女伝説』<1>の選評である。氏は、井田真木子氏の著作ばかりか、プロレスというジャンルそのものを酷評したのだった。
井田真木子著『プロレス少女伝説』について,大宅壮一ノンフィクション賞選評
題材がプロレスというだけで既に失格。私はプロレスというのは、品性と知性と感性が同時に低レベルにある人だけが熱中できる低劣なゲームだと思っている。そういう世界で何が起きようと、私には全く関心がない。もちろんプロレスの世界にもそれなりの人生模様がさまざまあるだろう。しかし、だからといってどうだというのか。世の大多数の人にとって、そんなことはどうでもいいことである。立花隆
この立花隆氏の「反プロレス発言」についてはこれまでさんざん語られてきていて、この度の氏の訃報に際してもさんざん語られた。
イエデビ【黄色い悪魔】@yelldevi局地的に立花隆プロレス嫌いで盛り上がってるのは、知の巨人には不本意極まりないわね(笑)
2021/06/24 16:46:56
当ブログも何か書こうと思ったが、今さら贅言を重ねるだけになるのでそれはしない。
周縁分野であるサッカーのファンがプロレスを軽侮する愚
しかし、世に「反プロレス者」の種は尽きまじ……というわけで、今度は小田嶋隆氏(コラムニスト)が反プロレス発言を繰り返しているのだと知った。
OmasukiFight@omasukifight故・立花隆氏といえば、臨死体験や宇宙飛行士の話を夢中で読んだことを思い出すけれど、やはりプロレスに関する不用意な発言がゆえに、この人の知的態度を疑ったこともあった。プロレスに個人的な恨みでもあったのだろうか。今も小田嶋某など、同様の無神経なヘイト発言は続いている。
2021/06/25 20:34:15
試しにインターネット検索をかけて読んでみると、これがいけない。小田嶋隆氏の反プロレス発言はただただ下品で読むに堪えない。引用もしない。
一方、ある意味で立花隆氏の「反プロレス発言」は、それほど不快ではない。
なぜなら、それは世間一般の良識によるプロレスに対する「まなざし」であり、特に知識人のプロレスに対する偏見である。これが従来からあった「世間vsプロレス」という図式を活性化させたという一面があるからだ。
実は、立花隆氏の「反プロレス発言」が(本人の意図に反して?)かえって日本のプロレスを活性化させてしまったのである。
ふじさわ@新国立まで糖質制限鯛ノフ@egaohyakkeiプロレス全否定の文章でお馴染み立花隆だけど、この発言そのものが非常に「プロレス的」だなと思う。 https://t.co/khjxKZcBjE
2021/06/23 03:21:57
小田嶋隆氏の反プロレス発言は、そのような性質を孕(はら)んだ発言ではない。ただただ読むに堪えない悪口雑言罵詈讒謗である。
それに違和感を覚えるのは、小田嶋隆氏がサッカーファンとしてメディア上で振舞っているからである。しかも、浦和レッズ(!)のサポーター(!)をもって任じている。
いつぞや、小田嶋隆氏は『ぼくのプレミアライフ』ならぬ『ぼくの浦和レッズ ライフ』とでも呼べそうな、氏にしては随分と甘美で自己陶酔的なコラムを書いていた(下記リンク先を参照)。
(リンク先)
サッカーという周縁的なジャンルへの過剰な思い入れを書く(否,書いていた……と言うべきか?)人間=小田嶋隆氏が、プロレスという、もうひとつの周縁的ジャンル=プロレスを罵詈雑言する。
この情況は、もともとスポーツには関心の薄いインテリだった立花隆氏の反プロレス発言とは決定的に違う。
ただただ不快なだけなのである。
(了)
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